8月・HAPPY[BLUE]BIRTHDAY・2

4/13
44人が本棚に入れています
本棚に追加
/145ページ
満腹以上にもなる苦しい腹を抱えて部屋に戻った。 昨夜は母に占領されていたベッドに転がる。 胃薬は役にたった……のか? 母はある程度(から)になった食器を片付けて次なる家事に従事し始めた。 洗濯は洗濯機がしてくれる……問題はない。 が、干すのはどうだろう? しわくちゃでなければいいが。 掃除───四角い家は丸く……角のホコリは視界から外されるだろう。 明日自分がするから、ま、いいか。 何時間かかるかな? 何をしていようか。 部屋でゴロついていると、母が自室の汚れ物を手にして覗いてきた。 「留衣、シーツ洗うから、そこ退いて。この部屋も掃除していい?邪魔だから、昼過ぎまで外行ってて」 今日は俺の誕生日……なんだけどな。 邪魔って…… 「わかった」 「うー。2時までには帰って来てね」 そう言いながら、ベッドからシーツを取り外して拐っていく。 俺は言い付け通り気温の上がる屋外に出る事にした。 家にいても暇だし、母の動きが気になって口出しをしてしまいそうだ。 ケンカになってはつまらない。 案の定、外は暑い。 行く宛てもなく、玄関先でボー……っとしてみる。 今日はどこに出掛けるというのか、母は教えてくれていない。 城崎に頼んでチケットを取ったと言っていた。 なんでアイツに……午後には城崎が迎えに来る。 なんでアイツが……高校時代の恋人。 母は20歳で俺を産んだ。 もしかして……と考えてしまうのは当然の事だろ? それくらい城崎は母と近い存在のように思えてしまう。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!