9月・真実と事実

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新学期──残暑厳しい中、冷房の効いた部屋が恋しい。 俺の部屋で休みの後半を過ごした公平は意外と直ぐに立ち直った。 「やっぱ俺、芽衣さんが好きだ!」 と、2、3日後にはヘラヘラと母と共にテーブルに着き、明るく食事をしていたくらいだ。 微動だにせず部屋の角に居座る姿は面白かったのだが。 「公平、ウザい」と麻琴に攻撃をされても「ふふん、麻琴にはわからんよ」笑顔で平然とする。 もうどーでもいいよ……。 母は僅かに戸惑っていたけど、変わらない態度を見せてくる公平を変わらない態度で迎えている。 変わったのは公平のスマホ。 壊れたわけではなく、鳴らなくなったのだ。 「ん?ああ、女友達全部切ったんだ。早く大人になりたくて、寄ってくるコと付き合ってたんだけど、もうそれも必要なくなったし、所詮俺は連れて歩くだけのモノだったんだしな。皆、呆気なく去ってったぜ。元々[本命有り]って伝えてたしな」 明るく話す公平に返す言葉がなかった。 本命がいても付き合える関係って何? 俺にはまったく理解出来ないことだと思った。 公平が何日間か夜中に背を向けて泣いていた事を知っている。 それは母のせいで、なのだろうから気付かない振りをして目を閉じていた。 俺には[本気]で人を想った事がないから、公平の想いは理解出来ないでいる。 本気で人が好き……いつかわかるだろうか? 解れば母の事が少しは解るだろうか?
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