敗者は何度でも立ち上がる

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一般的には会議と称するが、我々犬共の間ではこう呼ばれている アウシュビッツと。 18時になると何処からともなく死のノートを携えてオレ達の前に顕れる闇のアセンブリ共。 そして、コードネームを持つ者達の死の選別が始まる。 コードネームAライがスポットライトを浴びてその身を顕にさらけ出す。 開けた鍵を閉め忘れてクレーム。 つまり犬の足跡を残してしまった、と言うことだが。 挙動不審に脂汗を垂らして俯くAライ、我々犬共にとって光を全身に浴びせられ晒し者されるなんて事は屈辱以上の計り知れないダメージを心に負うことになるだろう。 犬共はオレも含めて他人事、我関与せずと爪を研いだり、眼鏡をキランっとさせたり、グラブってたりと様々だが内心は穏やかじゃない。 そこへ黒い眼鏡の男がやって来た、Aライの待ち望んだメッセンジャーだ、彼はゆっくりと近づいて行き、徐に小声で言った。 「ボスがお呼びだ」 愕然とするAライを無理やり立たせて、黒い眼鏡の男は、一緒にエレベーターに乗った、抵抗は一才無かった。 時間が止まったかのような静寂。 誰かが啜り泣いている。 彼はもう返ることは無かった。
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