敗者は何度でも立ち上がる

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「あきらめるな」 誰かがロープを伝って降りてくる、逆光で顔は見えないが、その声は―― 「Oリハラ」 やっぱり生きてやがったのか、くっそう。 ヤツが来て無線接続で未知の力をオレに供給してくれたのか、はたまた、これが闇の力ってヤツ!?フッお前はまだ生きねばならない、それが宿命、すると力がみなぎってきた気がする~ 「喋るな、耽るな、今助ける」 最後の力を振り絞りロープにしがみついた。 後はOリハラが滑車の様にオレをゆっくりと地上に降ろしてくれた。 「た、助かった、なんてお礼を言ったらいいか‥‥」 「助かって良かった、礼には及ばない、それよりも走れるか、急いで逃げよう」 Oリハラはロープを回収しながら言った。 ああそうだ、長居し過ぎたな、オレ達は一息付く間もなく、そこを後にした。 貴様にしちゃドラマチックな登場だったな、まぁくたばっちゃいないと思ってはいたが、そうそうお土産を買ってきたんだ、葛西の水族館で貴様の好きなマグロチップスだ食ってくれよな。 ありがとうよ、だが悠長な事も言ってられないようだぜ、オレはこのまま消えるが、カラビナをよく調べてみろ。 「お、おい、Oリハラ」 その瞬間ヤツは風のように消えていた。 なぁゴロチン今度はゆっくり酒を飲もう。 「ちっ、相変わらずのヤツだぜ、フフッ」 破損したカラビナを手にすると、細工の跡を見つけた。 「装備品に細工とは、穏やかじゃねぇな」 Oリハラが慌ただしく消えた理由も分かる気がした。 こんな仕事には裏切りはつき物よくある情事さ。 昨日の敵は今日の友 今日の味方は‥‥ 「ああもう、今日は疲れたぜ」 そうそう、あんみつだったな、あんみつを食べよう。 つーわけで貴公、 いつもの店で待ってるぜ。
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