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改めて言っておくが、
これフィクションだからな、フィクションな!
オレとKマイさんは、饒舌に、熱くエブリスタの未来を語った。
「う~ひっく、もっとこう、がーって、小説書いたら、どーって読んでくれる機能つけて下さいよ、機能、ひっく」
「んあ、それイイッスね、運営会議で言っときますよ、それ、プファ~ッ」
「それと、アイデアに詰まった時、優しく、優しく、教えてくれるの、超便利じゃな、いっく、あと、あと、自動読み上げ機能ね、オ、オレ、三森、三森が良いッス」
「んんあ、唯ちゃんとかもイイッスよね~、いやあ、やっぱ作家さんと話すと、良いアイデア出るな~明日の会議が楽しみですよ、プファ~」
「フハハ、エブリスタの未来は明るいですな、ひっく」
オレの特殊スキルは、戦闘に特化したものだけと誤解されているところもあるが、実は全く違う、ここにきて、オレの最大スキル、ノミニケーション(ぶっちゃけばなし~)が炸裂したのだ、Kマイさんは知らず知らずの内にライフポイントを失い、上機嫌で上司(敵!?)を連れて来ると言って去っていった。
ここまでは思惑通り、上々の出来だ。
さあ、来るが良い、明けの明星、闇と光の狭間に一際輝く綺羅星よ。
妙に冷えてきたな、店内冷房の効き過ぎか、いやビビっているのか?このオレが。
渇いた喉に無理やり酒を通す、一人の時間はまだ五分も経っていない。
今回のミッションの全貌を話そう、
パーティーのどさくさに紛れ、エブリスタ運営の中枢と接触、コンテンツ機密情報を暴き出す、そう、ターゲットは妄想コンテストの審査基準だった。
その時だ。
「お待たせしました」
直ぐに顔をあげその声の主を確認した瞬間、オレは言葉を失った。
「私、妄想コンテストを手掛けています、M田と申します」
妄コン担当者は女性、とは予想をしていた事だが、しかし、これは、、、
「美しい」
雪細工の人形のような華奢で可憐な容姿に魅了されたのか、不意にこぼした言葉を、彼女はお決まりのように微笑んで返した。
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