E☆潜入作戦

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「いや、すいません、こんなお若くて美しいお方が妄想コンテストを運営なさっていたとは知らず、あ、申し遅れました自分、ゴロチンと言います」 長いストレートの黒髪をサラサラと揺らし、彼女は頷きながら微笑むと。 「妄想コンテストは当初から私が手掛けてきたコンテンツです、いつもご利用頂きありがとうございます」 そう言って深々と頭を下げた。 今回のターゲットにやっと接触したのだが、オレの思考は止まったままだった、その優しくも意志の強い瞳に捉えられ、ただ黙って息を呑んだ、その美貌は、まさにエブリスタの明星、ヴィーナスと言ったところか。 「そして、ゴロチンさん、お噂はかねがね、今日はエブリスタへのご意見聞かせて下さいね」 名を呼ばれて我に帰る、彼女はオレを知っている、まぁいい、例え罠だろうともう後戻りは出来ない。 「M田さんは審査員もしておられますか?毎回沢山応募があると思いますが、大変ですね」 「ええ、何人かのスタッフと読ませてもらってますわ」 彼女はぴったりとオレの隣に座って淡々と応えた。 「皆さん面白い作品ばかりで選別が大変ですよ、でも流石に常連さん達はつかみも良く、読みやすく、安定感がありますわ」 予想通りの取り繕った答えだが、端々に違和感を感じた。 「常連さんも増えた感じがしますね」 「はい、いつもとても面白い作品を書いて下さって大変助かっています」 そしてオレは徐に切り出した。 「今後の妄想コンテストの展開、発展なのですが書籍化の予定とかありますか」 実はこの質問も今回の依頼に含まれていたのだが、けして無理するな、との事だったのだが、ピンチはチャンスだぜっ。 「勿論ありますわ、ゴロチンさん」 彼女はそう言って顔を近づけ、小声で言った。 「これはご褒美ですわ」
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