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敗者は何度でも立ち上がる
20160406
「gorochingさん、‥‥これは、相当悪い」
ベッドみたいな診察台に寝かされて、天井の明かりを正面に見れば必然に目を閉じる、言われるがままに診察を受けてやったのに、ドクターときたら、なぜか怒ってやがる。
「無茶ばっかりするから、こんなになるまで良くほっとけたものだわ、もっと早く来れなかったの」
のしかかるようにドクターがオレの顔を覗き込むと、お互いの鼻先が触るほどに近づいたが、ヤツの目には至ってただの患者としてのオレが映っているだけだった。
「‥‥先生、正直に言って欲しい、オレは後どのくらい戦えるのか」
「バカな事を、これ以上怒らせないでちょうだい、貴方は絶対安静、今夜は返せません、今から入院よ」
フッ、美女の付きっきりの看病なら大歓迎だが、この美女には冗談も浪漫も通じない、血や内蔵を見すぎて価値観が変わっちまったメッサーだ、いや医師免許もあるのか怪しいから、エンジニアとでも言っておこうか、まあ腕は立つし、美女でグラマーだし、なにしろ闇医者って事でオレ達には重宝している、今日も日頃のツケを払いに来たのだが、なんとも大袈裟な、ここでごゆっくりしていく訳にはいかない。
「ドクター、悪いが帰らしてもらうぜ、このベッドで二人寝るには狭すぎるだろ」
そう言ってベッドから降りてオレは上着に袖を通した、するとドクターが手の中の注射器を見せびらかしながら針の先から何か液体を飛ばした。
「これで強制的に3日ほど寝かせてやる事も出来るんだが、あまり手荒な事はしたく無いのだよ」
本気だ、この女はやる、オレは少し焦りつつ応えた。
「ま、待て、明日は会議なのだよ、社長が来るやつ、お前も知ってるだろ、それに明日は雨らしいから仕事お休み、つ、つまり、家で絶対安静してるからさ、頼むよ、今度Kハチのケーキおごるからさ」
ヤツの目の色が変わった、振り上げた注射器ごと腕を下げた。
「‥‥イチゴのヤツ5号だぞ」
マジかホールだと!
「ちょっとまて4号だ、肥るぞ」
そう言ってその部屋から出る。
「おい、goroching」
「大丈夫、ミッションには参加しないよ」
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