犬達は夜桜の下に吠える

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犬達は夜桜の下に吠える

20160331 1330今日もミッションは滞り無く終わった。 命のやり取りは変わらぬものの、相変わらずのぬるい仕事にいささか不満が無いわけではないが、過剰なスリルとサスペンスを 潜在意識の境界領域が求めてやまない。 フフッ‥‥人間とは我が儘なモノだな。 まぁ、そんな無い物ねだりも今夜は言えなくなるだろう、これからもう一つ特別なミッションが待っているのだ。 まさかS級ミッション、あ、有り得ない、と貴公も思ったのではないか? そう、一日で実行できるミッションは一つ、オレには厳重な規制が掛かっていて複数のミッションをこなす事は出来ない、その首枷を外すのには7つある鍵のどれかがいるわけだが、今夜は木の鍵が必要という事だ。 因みに 月の鍵、会社の偉い人が持っている。 火の鍵、会社の上司が持っている。 水の鍵、上司の上司が持っている。 木の鍵、上司の上司の上司が持っている。 金の鍵、オレの嫁さんが持っている。 土の鍵、オレの娘が持っている。 日の鍵、オレの息子が持っている。 となっている、が、これは、 最重要機密、 トップシークレットだっ! 貴公の保身のためにも、この事は忘れた方がいいぞ、フッ。 ‥‥そのS級ミッションだが、種別は潜入捜査だ、だが、ただの潜入捜査では無い。 年に一回特殊な花が咲く木を祀るミサが今夜開かれるのだ、そのメンバーとして潜入し、エージェントと接触、全貌を解明する、とまあ流石はS級を冠するミッションだ、生還率3%とコンピューターは叩き出したが仲間の一人は待ち望んでいたと謳う。 ノッホー ネホテュマー オレは違う、オレは死を喜ばない。 死と隣り合わせの生にこそ抗う価値がある。 また帰ってくるさ、そして貴公にこの声を聞かせてやる―― 必ず。
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