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微かな物音がして、俺はアパートのドアを開けた。…そこに一匹の猫がいた。
姿、仕草…何もかもが、ゲームの中で飼っていたあの猫だ。
いや、そんな筈はない。あれはゲームの中のできごとだ。ゲームの中の俺が飼っていた猫が現実にいる筈がない。
そう思うのに、手が、自然と猫を抱き上げていた。にゃあと鳴いて俺に甘えてくる存在に、半泣きの顔をすり寄せていた。
…あれから半月。
俺は今でもあのゲームで遊んでいる。でも、play時間は前より遥かに短い。
大家さんに交渉したところ、ペットを飼うことはあっさり認めてもらえた。そのおかげで今は一緒に暮らしている『あいつ』。
ゲームをしていると、構えとばかりに邪魔してくるから、もう前のようにゲームに時間は割けない。…でも、今の方が幸せだけどな。
たまに機嫌がいいと、スマホをいじる俺の膝に乗り、ゲームを眺めるような顔をしている大切な存在。そいつの頭を一つ撫で、俺は、
このゲームこそが、俺とお前を引き合わせてくれた魔法の存在だとつぶやいた。
バーチャルペット…完
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