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無数に現れた黒い玉に怯えながら、
病院の中をゆっくり歩いていく、ふと窓の外に視線をそらす…
今にも雨が降りそうだ…
黒い玉を避けながら、怯えた様子を見かねて看護師が声をかけてきた。
「大丈夫?顔色悪いけど、今日は注射やめておく?」
「大丈夫です…注射してください」私は続けた
精神的にアレを見ると、辛い思い出や、きっとこのあと誰かが亡くなる。
そう思うと…辛いものがあった。
そうこうしてる間に予防接種が始まった。
私は血管が人より細いらしくゴムで腕を縛られても血管が浮き出て来ない…
看護師さんが何回もアルコールを塗って針をさしてを繰り返した…
ついてない…私は人よりも痛い想いを何回も何回もしなきゃならないのだから…
そう思った。
注射が終わって受付で待機している時、いかにも精気の薄い老人が話しかけてきた…
「君…黒様が見えているのか…」
「かわいそうになぁ…まだ若いのに黒様に魅入られているとは」
黒様ってなんですか…とこちらが訪ねる前に話を進めた
黒様と言うのはな…我々が知る死神様のことだよ…
死神様・・・突拍子もない言葉に驚いた。そして納得した。
そのまま老人は話を続けた。
ふとその人の方を向くと黒い玉がかなり大きめにはっきりと表れていた。
黒様は、見える人が好きでな黒様は普段人からは認識されないから見える人がいると近寄ってくるんだ・・・・普通の人でも死ぬ直前に、黒い影やら靄のような形え見えることがあるという・・
見えてしまったら最期、神社でお祓いを受けようが何しようが変わらない。
なんとなくわかっていた。自分がどうしようもないものと対峙していると言うことを。
なぜ・・・私が見えているとわかったんですか?
私は尋ねた。昔な友人が魅入られてな・・当時は若かったが、村の伝承で黒いものが見える人には近づくなと言われていた。
そんな伝承は昔はどこにでもあって話されていたから本人も知っていたのだろう。
黒いものが見えるというのを隠していたらしい。
友達が何人も死んだよ・・・
戦争もあったしなぁ・・・私以外は全滅したよ・・・もうこの世に未練はない
言っただろう黒様はもうすぐ死ぬ人のところにも現れる・・・
だんだん自分の背後にいる黒様が大きくなってきているんだ。いつでも逝ける、
「……ン……ダ」突然黒い玉から何かが聞こえた
と同時に話していた老人が苦しみだす・・・・
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