遭遇

2/3
前へ
/14ページ
次へ
第1話 遭遇 初めて私が見たのは9歳のころだった 天気は今にも雨が降り出しそうなほど曇っていたのを覚えている。 当時小学生だった私は帰り道の途中にある祖母の家が妙に気になって祖母の家に少しの間居ることにした。 そこには祖父と祖母、叔父が暮らしているのだが、当時叔父は仕事に出かけていて祖母、祖父しかいなかった。祖父は戦争により足と手をなくしていて、大きな声をあげて喋ったので幼い私にはとても怖く写った。 祖母は私が学校帰り祖母の家に寄ったのが嬉しいらしくいろいろご馳走してくれた。食事を済ませ、祖母の家から近い小学校のグラウンドに遊びに向かう途中… 私はとてつもない眠気に誘われたのだ。 今思うと 小学生の事だからご飯を食べたあとに眠くなるのは仕方ないと言う意見もあるかも知れないが、 走ってグラウンドに向かっている途中急に倒れるように眠りだすのは周囲の人々からみても流石に異常だったらしい… 私は夢を見ていた… 今まで何をしていたか全く分からなくなっていた。気がついたら空に夢中になっていた… 空に何があったわけではない… ただ何かに憑かれたようにずっと空を見上げていた。 現実と同じ天気、今にも雨が降り出しそうなほど曇っている。 人通りが多いわけでもないが 人やら車やらが絶えず通っている国道の中心で 何の音もしない… まるでこの世界に私だけしかいないのではないかと思うほど静かな世界だった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加