上司命令

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「あくまでも、俺がお前の立場になったらって、考えた答えだからな。そこは、文句言うなよ。」 俺が頷くのを確認して、佐野は続けた。 「お前は、課長のこと、付き合ってもいいかなって思うくらいには、好きなんだろう? 例えば、俺が、そう言う気持ちを、ここに、ちょっぴりでも持ってるなら、理由はどうあれ 、まずは、素直に彼氏になるね。 もちろん、疑問は、解決しなきゃ、いつまでも引きずるからな、それは、頃合いを見計らって、どうにかしていけばいいことさ。 それにな、どう考えても、上司命令ってのは、あの人の照れ隠しだと思うけどな。 なあ、課長は、お前より、いくつ年上だ? 男はさ、自分が年上でも気にしないけど、女ってのは、ものすごく気にする生き物なんだぜ。 それに、あの人が、自分を可愛く飾って、遠慮しながらモジモジと告白するタイプじゃねぇのは、ちょっと考えりゃわかるだろ。 となりゃ、あの人が、自分の年齢を気にせずに、お前に告白するのに、どうしたらいいかを考えた末、ひねり出した方法が、上司命令だったんじゃないの。 お前が、どう思っていようが、あの人は、今、手の届くところにお前を置いとくことに成功して、嬉しいんだと思うけどな。」 佐野が言うことが、正しいのかどうかはわからない。でも、頭の中が、スクランブルになってる俺からすれば、すごく整理整頓された答えのように思えた。
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