708人が本棚に入れています
本棚に追加
「梶尾…お前のことは、入社前から気になっていたんだ。たまたまな、就活に来ていたお前を見かけてな。なんだか、不思議な気持ちになっていた。
《こいつには、また、会える。》
《必ず、私と、繋がりが出来る。》
漠然となんだが、そんな予感が、あったんだ。
実際、蓋を開けたら、お前は、私の直接の部下になった。嬉しかったよ。なんだか、ウキウキしていた。
この数ヵ月で、私にとって、お前は、なくてはならない存在になっていた。そうなって、少しばかり欲が出た。仕事の上だけでなく、プライベートでも、関わりたいと…いつでも側にいて欲しいと…。
こんな気持ちになったのは、憧れていたあの人以来なんだよ。」
「なら、どうして、もっとストレートに、俺に気持ちをぶつけてくれなかったんですか?」
「怖かったんだよ。私は、お前に、拒まれることが、怖かったんだ!…それに。」
「それに?」
「私なんかより、断然若くて、釣り合いの取れる可愛い女の子が、回りに沢山いるんだ。その中の誰かを、お前は、選ぶかもしれないじゃないか。いや、もう選んでいるかもしれない…そう思ったら…。」
「それで、上司命令ですか…。はぁ…。」
思わず溜め息をついてしまった。
「馬鹿ですか…あなたは。仮に、そうだったとして、そんなので、俺の気持ちをどうにかできるんですか?
俺の反発食らうだけだって、わかるでしょ。」
「だ、だってな!梶尾は、若い女子社員の中じゃ、5本の指に入るくらい人気があるんだぞ!」
最初のコメントを投稿しよう!