上司命令

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「梶尾…お前のことは、入社前から気になっていたんだ。たまたまな、就活に来ていたお前を見かけてな。なんだか、不思議な気持ちになっていた。 《こいつには、また、会える。》 《必ず、私と、繋がりが出来る。》 漠然となんだが、そんな予感が、あったんだ。 実際、蓋を開けたら、お前は、私の直接の部下になった。嬉しかったよ。なんだか、ウキウキしていた。 この数ヵ月で、私にとって、お前は、なくてはならない存在になっていた。そうなって、少しばかり欲が出た。仕事の上だけでなく、プライベートでも、関わりたいと…いつでも側にいて欲しいと…。 こんな気持ちになったのは、憧れていたあの人以来なんだよ。」 「なら、どうして、もっとストレートに、俺に気持ちをぶつけてくれなかったんですか?」 「怖かったんだよ。私は、お前に、拒まれることが、怖かったんだ!…それに。」 「それに?」 「私なんかより、断然若くて、釣り合いの取れる可愛い女の子が、回りに沢山いるんだ。その中の誰かを、お前は、選ぶかもしれないじゃないか。いや、もう選んでいるかもしれない…そう思ったら…。」 「それで、上司命令ですか…。はぁ…。」 思わず溜め息をついてしまった。 「馬鹿ですか…あなたは。仮に、そうだったとして、そんなので、俺の気持ちをどうにかできるんですか? 俺の反発食らうだけだって、わかるでしょ。」 「だ、だってな!梶尾は、若い女子社員の中じゃ、5本の指に入るくらい人気があるんだぞ!」
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