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「梶尾、俺言っただろう、課長の雰囲気が、いつもと違うって。
お前とさ、外回りから帰ってきてから、課長、なんだか、機嫌いいなって、最初思ったんだ。
その内さ、課長が、お前を見る時、他のやつらを見るときと表情やら、視線がさ、違うのに気が付いたんだ。何て言うの…そう、愛しそうにしてるっていうのかなぁ。
お前にさ、怒ってるのは、本当だと思うけど、そういう目でみてたらさ、あれ?って、思ってさ。
まあ、お前にゃ、その微妙なニュアンスわかんないだろうけどな。」
「すいませんね、鈍くって…。」
「そんなつもりで、言ったんじゃないよ。」
俺は、頭を抱える…何て言おう…。
「なあ、梶尾。…お前、課長のこと、好きなんだろう?」
不意に核心を突かれて、焦ってしまう。
「お、俺が課長を…。そ、そんな訳ないだろ!…そんな訳が…ないよ…。」
言いながら、悲しくなってくるのは、どうしてなんだ?
課長を一人の女性として見た時に、俺は、どう思っているんだ。嫌いなのか…それとも、好きなのか?
考えれば考えるほど、頭が、ごちゃごちゃしてくる。
「ああ!もう!わけわからん!」
パニクってる頭を、ガシャガシャしてる俺を見て、ニヤついていた佐野が、これは、ただ事じゃないと思ったみたいだ。
「梶尾!落ち着けよ!面白おかしく、からかおうとした俺が、悪かった!だから、落ち着いてくれ!
なあ、一体、昼間、課長と何があったんだ?
相談のってやるから、話せよ。なっ!」
その言葉で、少しだけ我に返った。
「なあ、俺、どうすればよかったんだ?」
涙目で、俺は、佐野にすがるように、話し始めた。職権乱用とも言える課長の《お前は、私の彼氏》宣言を…。
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