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「昼間、外回りが一段落したから、食事して帰ることになったんだ。
食事が終わって、珈琲飲んでる時だよ…。
課長が、俺に、突然『お前は、今日から、私の彼氏な。』って、言い出したんだ。」
「はぁあ?課長がかぁ?」
「俺も、耳を疑ったよ、でも、本当なんだ…。
俺は、課長のことは、嫌いじゃないよ。むしろ、逆だと思う。だから、彼氏になってくれって、普通に言われたら、たぶん素直に喜んでいたと思うんだ。
だけど、いきなりさ、今日から、お前は、私の彼氏だ。拒否するな、これは、上司命令だ。なんて言われてさ、素直にハイって言えると思うか?
なのにさ、俺は、反射的にっていうかさ、課長の勢いに負けて、気付いたら了解の返事をしてしまっていたんだよ…。
だから、自分で、ちゃんと納得が出来てないんだと思う。自分で納得出来てないから、落ち着かない。
そのせいで、一旦、その事が頭に浮かんだら、仕事してても上の空…とまでは、いかなくても、気になって、つまんないミスしてる。
結果、いつもみたく、あの人に、ダメ出しされてる俺がいるわけだよ。
なあ、そんなやつが、本当に、彼氏として、あの人に釣り合うのか?」
佐野は、苦笑いしていたけど、俺の話は、最後までちゃんと聞いてくれていた。
聞き終わってから、しばらく腕組みして、何かを考えていた。
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