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10分もしないうちに、入り口からスレンダーな男性がやってきた。頭を金髪に染めてNYの景色になじんでいる見覚えのある面影。誰かを探している。それはつまり僕をさがしていて、目があうとにっこりと笑ってくれて、それを見てホッとしたと同時に甘い高揚感に包まれた。 僕がずっと会いたかった人。ノブアキ。 「ひさしぶり~」 軽くて甘い声。ほんとひさしぶり。 「うわ~、元気だった~?」 ここのホテルからワンブロック先にあるというトルコ料理まで、二人で歩きながら話す。 「ノブアキは、NYでなにをしているの?」 「僕はメイクアップの仕事でこっちにいるの。雑誌とかショーとか。NYでキャリアをスタートさせちゃったから、日本との違いとか分かんないけど、面白いよ」 別世界の話だ。でも、こうして一緒にいると、女の子にも男の子にも囲まれて、いつだって人気者だったノブアキの思い出がよみがえってくる。 混んでいる店内。席について注文してひさびさの再会をシャンパンで祝った。高校を卒業してからの出来事や、今の仕事にいたるまでの経緯を話していると、新しいノブアキにもう一度最初から知り合いなおしているようで不思議。話の合間ごとにノブアキからはいい匂いがする。 お酒のいきおいも手伝って僕はいっきに聞いた。 「ノブアキ、つきあってる人いるの?」 「今はいない。振られちゃったから。まだちょっとそれをひきずってる状態」 「幸太郎はどうなの? つきあってる人いるの?」 「……いない」 僕の苦手な恋愛話。でも、このNYでは逃げない。そう決めてきていた。 「気になってる人はいる」 「……」 「気になる人いるの? 幸太郎って高校の時、あんまりそういう話聞かなかったよね~。へぇ~、なんか新鮮。どんな人~?」 「……まだ、よくわからないんだけど」
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