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「なあ、飛沫・・・。なにも教室まで来なくても、下駄箱とかで待ってれば一緒に帰れるだろう?」
学校からの帰り道、男子生徒が、隣を歩く女子生徒に話し掛ける。
男子生徒の隣を歩いてる女子生徒、
赤井 飛沫(あかい しぶき)は男子生徒に対して、
「そんな事言ったって、私が迎えに行く前に、ときが教室から出ていった後で一緒に帰れた事、今まで一度だってないじゃない!」
と、頬を膨らませながら怒鳴った。
ときと呼ばれた男子生徒、
黒峰 時雄(くろみね ときお)は、大きな溜め息を吐いた後、
「確かに・・・そういう時は一緒に帰れてなかった気がするな。」
赤井が教室に来る前に、黒峰が教室を出ていった時にふたりが一緒に帰れない事があるのには理由があった。
赤井飛沫の容姿は、誰がみても綺麗と思わずにはいられない程、凛として美しかった。その為、男女問わず好意を持つ生徒が大勢いた。
非公認ながら、ファンクラブも存在し、その会員達の策略によって、ふたりが一緒に下校しないように手を打たれる事がしばしばあった。
だが、その他にも《黒峰赤井を見守る会》というもの(ほとんどが、赤井の友達)も存在し、ふたりが普段から行動を共に出来るように裏で暗躍している人達が大事になりそうな出来事を未然に防いでくれる為、ふたりのまわりでは特にこれといったトラブルが起きることはなかった。
この事実を赤井飛沫(黒峰はきづいてる)はしらない・・・
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