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コーヒー豆の袋を取り出しながら、真次郎じいは雄二に向かって言った。
「ワシらも元は人間だったはずじゃ。何があったかは知りゃせんが、そう人間を毛嫌いするでない。人間はときに愚かじゃが、その愚かさがとても愛しく思えることがあるんじゃ。
お互いに補い合える、そう思える瞬間を感ずることがある。」
「だから、真次郎じいは、ここで、人間の土地のど真ん中でずっと暮らして…。」
「さあな、ずいぶん昔にここに住みたくなったんじゃが、昔のことはとうに忘れおったわ。
さあ、おまえさんたちも、あのお嬢さんと、もうひとりあとから来るお嬢さんのために、コーヒーを入れるのを手伝ってくれんか?」
「うん、おいら頑張るべ!」
「ああ。」
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