第二章 『出会いはさくらの中で』

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「とても似合っていて……可愛い。あの時は、二人きりじゃなかったから、言えなかったんだ。 なんだか照れてしまってな」 ひとり言のように、そう呟く学武さんに、ボッと顔に火がつく勢いで真っ赤になってしまう。 ……なにそれ、なにそれ! やっぱりずるいよ、反則だよ、この人! 私が何も言えず、絶句していると、学武さんがこちらを向いた。 やっぱり顔が赤いけれど、間違いなく、私の方が赤くなっているはずだ。 「ははは、顔が真っ赤だぜ?唯」 「う、うるさいですよ!学武さんが、恥ずかしいこと言うから…!」 それに、学武さんだって赤くなってます! そんなことをムキになって言いながら、私達は『さくら』へと帰っていく。 なんだかとても、心がぽかぽかと温かかった。
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