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藤野は電車通学だ。
降りる駅は知っていたし、その駅だけでもオレんちとは正反対なのは覚悟していた。
予想通り……遠い。
「先生…、オレん家から随分離れてますが…。」
「んー、だねぇ~
…でも渡川ならやれる。やればできる子! 」
そう言って、課題とプリント類をファイルに入れ躊躇なくオレの前に差し出した。
地図を見て明らかにヤベェって顔をしたよな?
この若い担任はオレが断れない性格を知ってるのか?
まぁ、下校時刻も過ぎたこの時間からじゃ代わりの生徒も手配出来ないだろう。
観念したオレは、そのファイルを大人しく受け取りそのまま部活へ向かった。
「よろしく~」
まの抜けた声が後ろからした。
フゥ~…
お人好しかな?
「失礼しました」と一礼して職員室を後にした。
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