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季節は5月。
春季大会も地区予選3回戦で敗退してしまい、野球部は今ピリピリモードだ。
そんな状況で「オレ、寄るとこあるので先に帰りま~す。」なんて口が裂けても言えない。
練習も終え、きっちり最後の片付けまで済ます。
そして、皆が帰る同じ時間に学校を出た。
オレは今、1、2年のまとめ役を任されている。
あり難いことに、後輩、同期はもちろん先輩達からも信頼される存在だ。
そこでお先にドロン!なんて、無責任な態度も取れない。
それに…それが出来るほどオレも器用ではない。
「「先輩、っかれっしたー!」」
「お疲れっ」
すっかり日も暮れた空を見上げながら…
「藤野に貸しだな~」
なんてポツリと独り言を呟きながら、オレは近くの駅を目指して自転車を走らせ…電車に乗った。
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