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しかし今日は朝から曇り空で、辺りも暗くなり始めた頃、急に天気が崩れバケツをひっくり返したような雨がフロントガラスを容赦なく叩きつけ途端に視界は悪くなった。
「マジかよ……」
大樹はこのまま車を走らせるのは困難であると判断し、丁度駐車スペースのある待避所が目の前にありそこで車を止める。
「これだけ強い雨だ。暫くすれば止むだろ」
「そうだね……」
しかし雨は一向に止む気配はないばかりか雷が鳴り響くようになる。
「きゃっ……ねぇ大樹、車に雷落ちたらどうなるのかな?」
藍は耳を抑え、運転席の大樹に雷が怖いようでおびえながら尋ねていた。
「車の中は大丈夫だろ……って、藍。あんなところに建物……?明かりがついてるぞ」
大樹は左にいる藍を一度見て軽くあしらったが、助手席のガラスの奥に明かりが点いた建物らしきものが見えて、目を細めた。
雨のせいで距離感は掴みづらいが、恐らく50メートル程だろう。
今まで何度も通った道であったがこんなところに建物があるという事を二人は初めて知った。
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