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ぴぴぴぴぴぴぴぴ
不快な電子音に急かされて、重いマブタを持ち上げた。ここはどこだ。収容所か。あのサドクソ野郎に気絶でもさせられたか。
手錠の無い軽い手首。俺が寝ていたのは柔らかいベッドの、くしゃくしゃのシーツの上だった。起き上がる。服は着ていなかった。
「ここは……」
見覚えのある部屋。乱暴に赤く塗られた壁。大きな鏡に、壁に貼られたロックスターの写真。今朝までいた、3ブロック先の橋の手前のアパルトメントの1室だった。
部屋の外からはざあざあとシャワーの水音が聞こえていた。
「なんでこんなところに……」
枕の下に手を突っ込む。手に触れた硬く冷たい感触。いつもの隠し場所にあった銃を手にして、弾を確認した。弾も抜かれていなかった。
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