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キュッと音がして、シャワーの水音が止んだ。俺は床に落ちていたジーンズをはいた。ガチャガチャとベルトが鳴る。ハイヒールがたくさんぶら下がった重そうなドアに銃口を向ける。
ドアがギィっと開いた。姿を見せたのは女だ。ほとんど意味をなさない、シースルーの下着。白いレースのガードルに白いピンヒール。ブロンドヘア。この部屋の主、娼婦の“ニコ”だった。
「グッドモーニング、Baby。亜蘭。嫌だ、銃なんて向けないで。……興奮しちゃってあなたをお仕事に行かせたくなくなっちゃう……」
恍惚の表情。ニコの冷たい手が俺に触れた。体温の低いマゾ女。こいつの事は嫌いじゃない。昨夜はこの女の家に泊まった。俺は銃を向けたままニコに尋問した。
「答えろ。俺は何故またここに帰ってきている。スーツのサドクソ野郎はどうした」
俺は確かオトリ捜査の罠にハマり、サドクソ野郎に手錠をかけられたはずだった。なのに何故、ニコの家にいる。
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