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「サドクソ野郎? それは私の目の前の?」
ニコがヒールを鳴らして俺に歩み寄った。
「……は? 俺じゃない! あの高級スーツの冷徹そうな捜査官だ」
「捜査官なんて。ぞくぞくするわ……たまらない」
ニコは濡れた舌で銃口をちろちろとなぞった。そして銃をすっぽり唇に含んで、うっとりとした声を漏らした。ニコの腹を蹴ると、彼女は後ろに倒れ込んだ。
「ふざけるな! 俺はどうやってここに来た!」
「……? 私と一緒に来たじゃない。朝から嬉しいご褒美ね、亜蘭」
床に倒れたまま、ニコが俺を見上げる。ニコの後ろでつけっぱなしになっていたラジオでDJがハイテンションな声を上げた。
『4月1日。時刻は10時! ドライブにふさわしい1曲目はこの――…』
4月1日の10時。
「……夜の10時か?」
「イヤね。朝の10時よ」
そんなわけがない。
“1th、April。13:26 殺人未遂で容疑者、亜蘭=モルガン逮捕”
確かにあの捜査官は俺を取り押さえて言っていた。
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