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異世界転生とか嫌ですよ、マジで
違和感。
何か違う。そういった違和感が俺を眠りから覚ました。
あたりを見渡す。すると、いつもと同じで殺風景な俺の部屋が目に入る。
どこにでもあるような2階建ての一軒家。その2階にあるのが俺の部屋。そこは、殺風景で必要最低限の物しかない。
「…めんどくせぇ」
無意識のうちにそう悪態をついてしまった。
---色が無かったのだ。
俺以外の物には、全て色が無い。
「どうなってんだ…?もしかしてここは…あの世なのか?」
俺は不本意ながらも布団から体を起こし、窓から外に目をやった。予想通り、というべきか。どこもかしこも色が無かった。
いや、完全に色が無いわけではなかった。色が無ければ、何も見分けがつかないからな。
この世界は、俺以外は白黒だけで構成されていたのだ。
「………ハァ」
俺はため息を付いてもう一度布団に入る。
ここがあの世なら、多分俺は水分不足で死んだんだろうな。
僅かにだが、寝ている時に水を飲むか、寝続けているかで迷っていた気がする。
どうせ迷っている内に死んだんだろう。
「まぁ、なら仕方ないよなァ…」
それに夏だったからな。夏ではクーラーの効いた室内と言えども、一日に何度も水分を取らないと脱水症状を起こす可能性がある。
過ぎた事はどうでもいい。考えていても無駄だ。考えるだけめんどくさい。
再び思考停止に近い眠りに入りかけた俺の耳に、声が聞こえた。
「ほぅ…其方(そなた)、迷い込んだ訳ではなさそうじゃのう…」
声の方を見ると、少女が立っていた。
少女は座敷童や、日本人形のような現代らしからぬ見た目で、年齢で言えば6歳程度か。
髪の毛は短く、顔はちょっと整いすぎているが、幼く可愛らしい少女といった所か。服は巫女服と言うやつか…?
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