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そんなもん、信じられる訳がない。
あり得るかもしれないとは思う。だが結局のところ、信じられない。っていう感じだな。
まぁ少女の言う通りなのであれば、俺は不老になったらしい。嬉しくはない。めんどくさそうだし。
「ちゃんと聞いておったのか?」
「BGMとしてなら」
「びーじーえむ?…まぁ良い」
少女はBGMという言葉が理解できなかったのか可愛らしく首を傾げた。
「…む?」
少女が声を上げた瞬間、胃がムカつくような、胸がざわめくような感覚が俺を襲った。
「丁度良い。モノクロが現れたようじゃな。其方、着いて来い。これで信じられるじゃろ」
質問したい事はあったが、俺は黙って少女について行くことにした。
そりゃめんどくさいよ?でもさ、そのモノクロって奴はさ…人間を喰ったり攫ったりするわけだろ。
つまりさ、俺の質の良い睡眠を脅かす存在なわけ。勝てる勝てないじゃなく、一度は目にしとかないとな。
「そうじゃった、まだウイの名前を言っていなかったの」
少女は窓ガラスを割って外へ身を投げ出す。
「ウイの名は、三賀(さんが) 御神子(みかんこ)じゃ。覚えておくが良いぞ!」
変な名前だな。
それに、ウイって自分の事なのか。何か他の意味のある言葉かと思った。
「…フレームは色とかが足りない骨組の世界だったな…なら飛び降りても怪我とかしないのか?痛みが欠落している世界なら都合がいい」
俺は御神子のように外へ身を投げ出した。
「ッ……痛みはあるのか」
その結果、足から着地をしようとしなかった俺にはアスファルトと情熱的なキスを交わす事になった。
立ち上がった俺は地面に打った体を擦りながら、軽々と走る御神子を追いかけた。
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