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超能力の才能
「これがモノクロじゃ」
「…マジでモノクロなんだな」
数分後、俺は住宅街でそのモノクロとやらを目にした。
姿かたちは人間の物だったが、色がこのフレームのようになく、モノクロで構成されていた。
モノクロは30歳前後の男か…?スーツに身を包んでいるし、話は通じなくはない気がする…。
でも、話しかけたりはしない。めんどくさいからな。
「そうじゃ。モノクロがモノクロってやつじゃ!モノクロだけに!」
そう言って御神子は俺を見ながら笑う。
自分のダジャレで笑うのか…。
おい…御神子、お前が笑ったせいでモノクロが俺たちに気付きやがったぞ…責任をとってお前が戦えよ。
「オッホン…そういえば其方の名を聞いていない。教えてくれんか?」
「榊原(さかきばら) 成影(じょうえい)」
自己紹介なんて後にすりゃいいだろうに…。
「変な名前じゃの~」
お前が言うな。
「チッ…で、御神子。モノクロとはどうやって戦えばいいんだ?」
思わず舌打ちをしてしまったが、まぁいいか。
モノクロって人間を喰らうって事は、人間よりも身体能力が秀でていたりすると考えた方が良さそうだな。
吸血鬼のような感じか…?それなら、弱点があればいいのだが。
「どうやってって、超能力を使うしかないじゃろうに」
…はぁ?超能力?そんなの聞いてないぞ。それとも、死んだら使えるようになるのか?
「その…なんだ。俺は超能力なんて使えないから代わりに戦ってくれ…大丈夫だ。俺はちゃんと見ておく」
「どうやらモノクロは、じ…じようえい…じょ…ジョーと戦いたいようじゃの」
噛みながらも言い切った御神子の表情はスッキリとしていた。
御神子の言う通りに、モノクロは俺に向かってきていた。ゾンビのようにおぼつかない足取りではなく、しっかりとした人間の歩き方だった。
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