超能力の才能

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 この流れはめんどくさい、と俺は半ば無意識に考える。  超能力とか全然知らないが、御神子が使い方を教えてくれれば何とかなるか…?  まずは、襲われる前に教えて貰わないとな。 「めんどくせぇけど仕方ねぇ…御神子!超能力ってどうやって使えばいい?」 「追い詰められれば勝手に出るもんじゃ…大丈夫じゃ。ウイはちゃんと見ておく」  コイツ…根に持つタイプなのか。っていうか、初心者を戦わせるなよな。死んだらどうすんだよ。  …あ、もう死んでたか。  俺はモノクロから逃げるように数メートル後ろへ下がった。その時だった。 「あぶねッ!?」  その瞬間、丁度俺がさっきまでいた所にモノクロの腕が突き刺さる。  俺はコンクリートを生身の拳が抉るというアニメのような奇妙な現象を目にしたわけだ。 「ふむ。そやつは身体能力が高いようじゃな」  御神子さま、冷静な分析どうもありがとうございます。  それよりも今、二度目の命の危機に瀕している俺を助けて欲しいのですが。 「嘘だろ!?」  御神子に気を取られ、気付いた時にはモノクロの蹴りが俺の横腹にまで迫っていた。  早いッ…避けれない! 「グハッ…!」  俺の肺から空気が押し出される。  数メートル以上吹き飛ばされた俺は、幸いどこかのフェンスへ体を打ち付けた。コンクリートであれば俺の骨はどこか折れていただろう。  俺も身体能力が上がっているのか、モロに喰らったはずの蹴りで骨が折れる事は無かった。 「イヒッイヒヒ」  モノクロは笑いのような声を真顔で出す。  きもちわりぃ…な、コイツ。 「あの…モノクロさん。話を聞いてくれませんか?仲良くしましょうよ」  通じるかわかんねぇけど、意思の疎通は計ってみなくちゃな。 「アガッ」  モノクロはそう言うと地面に這いつくばる俺に拳を叩き込む。意思の疎通は無理でしたね。はい。  フェンスとモノクロに挟まれた俺は、逃げる場所もなくその拳をモロに受ける。両手を交差させてダメージを減らす事しか俺はできなかった。 「ギヒヒ…ヒヒ」  追い詰められた獲物をいたぶるのが好きなのは人間だけじゃないみたいだな。  このモノクロも楽しそうに俺に馬乗りになって拳を叩き込み続ける。その拳が振り下ろされる度に俺の体に鈍い痛みが広がる。
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