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「…あ…私は、七海。相沢七海」
「七海ちゃんかぁ。よろしくね?」
「う、うん
よろしくね」
にっこりと柔らかく笑う千鶴は、荷物の片付けを手伝いながら、施設を案内する。と、言ってきた
「ずっと、同室になる人がいなかったから嬉しいの
仲良くしようね」
楽しそうな千鶴は、何年も入院しているのだと言っていた
何故、入院しているのかは聞かなかった
千鶴も私の入院した理由を、聞いてこなかったからだと思う
それでも、私達は誰よりも仲良くなった
私にとって、千鶴は友であり姉だった
千鶴にとっても、私は友であり妹だったと思う
だから、体調が安定するのは少し寂しかった
体調が安定するということは、退院することを意味していたから
一年ほどの療養で、私の退院は決まった
だが、千鶴が退院する気配がない
千鶴は、私の回復を喜んでくれた
だが、日毎に口数は少なくなり、窓の外を眺めていることが増えた
そんな千鶴を見るのは辛く、退院することが嫌でたまらなかった
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