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外出すると仕事が滞る。社内での電話交渉と書類作成、そして発送が晴のメインの仕事だ。諸先輩方の電話のフォローはあっても、全員忙しい。その他の業務まで引き受けてはくれない。
だがこのままでも机の仕事は滞り続ける。晴の電話回線が塞がれ続けるよりはいっそ、直接対決に打って出た方が早い気もする。何よりこのモヤモヤを解消したい。
『直りません、で、ああそうですか、なんて--』
マシンガントークではない。
ゆったりとした、それでいて相手に付け入る隙を与えない独特の間合いを持つ話し方に、失礼承知で強引に切り込む。埒があかない。
「小野原さん」
『はい』
「同等のお車を買うよりも原状回復する為の修理費用が上回りますと、判例では--」
『今現在有する価値分しか払えないんですよね?』
「そ、そうなんです!!おっしゃる通りです!!」
小野原から初めて理解を示された。歩み寄りを見せられ、興奮して声がうわずる。身体も自然と前に出る。
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