第二章 依頼

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 実はゴンタロウにも勉強を教えてもらっているが、「これは重症です」とか「大学受験はどうする気です?」と、説教をはじめだすから嫌だった。  (なんだって、電化製品に説教をされなきゃいけないのよ!)  世間では知られてないが、居候のゴンタロウには秘密がある。  精巧なアンドロイドなのだ。頭の中身は電子頭脳で、高校の勉強くらいは何でもない。  なんせプログラムを制作したのは、今は亡くなってしまったが、業界でも天才の誉れ高い科学者だった。  ある事件がきっかけで、このアンドロイドは景子の家族と一緒に住むようになっているのだが、景子はゴンタロウが苦手で、できることなら助けを借りたくなかった。  いちいち、こちらの提案を否定して、『わがままは相成りません』とか『お体大事にございます』とか時代劇に出てくる家臣のようなセルフを口にするのだ。  これがムカつく。
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