第二章 依頼

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 なによりも人間としてのプライドが傷ついて仕方なくなってしまう。  (あいつ、ゼンマイ仕掛けの人形の親戚だよ、こっちは生だよ、人間だよ!)  と、いう気がしてくるのだ。  だから景子はゴンタロウの前では、威張るようにしている。  だがこれが最近では誤解されるようだ。  なにも事情を知らない三田などは、「あんた、相手は年上だよ、もうちょっと、言い方あるでしょうよ」  と、説教する時がある。  まずいことにゴンタロウは二十歳の青年の姿なのだ。  たしかに三つも年上の居候を女子高生が顎で使ったら、そりゃ周囲は人の弱みにつけこんで威張っているようにみえるだろう。  しかしゴンタロウの正体を口にするのは、二見家ではタブーになっている。
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