第二章 依頼

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 これは彼女がズボラな性格にも問題があったが、裏の世界を知ってから余計なことに首を突っ込むのを避けているからなのだ。  が、なのに……。なぜか頼られることが多い。  北島に頼られたのは、空手の腕を見込まれたからだ。  たしかに小柄だが景子は強い。高校一年では県大会では三位で、今年も春の大会で怪我さえしなければ優勝できたんじゃないかと悔やまれるほど上がり調子だった。  余計なことにかかわらないようにしているくせに、なんだって北島のボディガードを引き受けてしまったのか? これは三田に煽られたせいもあるが、北島も頭が上がらないからだった。  これは北島が家庭教師をしてから、さらに景子の中では比重が重くなるばかりになっている。  実は内心、景子は北島が怖くて仕方ない。  彼女自身は記憶がないだろうが、ある時間の中で、恐ろしい姿に変貌した彼女に襲われたことがあり、それがトラウマになっている。  だから怖い。
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