第一章 妙案

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 人食いサメの事件から時間は遡る。  中鷹は思う。  千本ノックにランニング、練習は辛いことばかりだが、それでもやめないのは試合に勝った、あの瞬間が忘れられないからだ。  あの誇らしい気分は、その結果に達成した者にしかわからないだろう。  だから彼はバットの素振りをやめない。  課題が多いのはわかる。  守備もまだまだ、ピッチャーも実力不足、そして致命的なのが打撃力のなさだ。  監督をしている顧問の河中は「とりあえず塁に出ろ! でないと作戦のたてようがない!」と、叱るが、これは彼の責任でもあった。  この古文の教師は打撃力不足をカバーするためにバッテングよりも、スクイズやバントの練習を重視しているのだ。  「弱点のバッティングの向上を課題に練習メニューを変えるべきです!」  これを監督に進言したことがあった。
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