第一章 妙案

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 だが人間を見る基準において、何事も学歴が大きなウェイトを占める河中は、「君の偏差値はいくつだ!」と叫び、威嚇する始末だった。  野球に青春の全てをかけてきた中鷹が学業優秀なはずがなく、「偏差値は関係ないでしょう」と、反論したら、「だから違うんだって、僕の方が優秀だから!」と、聞く耳を持たない。  とうとう辛抱できなくなった中鷹が「もしかすると、野球を知らないんじゃないですか!」  この禁句を口にしてしまった。  「作戦って言っても、バントとスクイズだけじゃ勝てませんよ、守備練習にしても、千本ノックするのは部員だけで、先生したことないでしょう」  「そ、それは各自の自主性を育てる僕の教育方針だ!」  「ウチのネックはどう考えても打撃力不足です」  「各々がバッティングを練習しろよぉ! ピッチャーに投げさせりゃいいだろうが! それで十分だ!」
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