第一章 妙案

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「剛速球のタイプじゃ打てませんよ!」  なんせエースは球速一二八キロ以上、投げたことがない。エースは球の遅さをカーブやナックルで誤魔化しながら、打たせてバッターを仕留めるタイプ。練習ではトリッキーな技に慣れているが、球が速いと、みんな空振りしてしまう。  ところが甲子園まで行くチームには球速一三〇キロどころか一四〇キロまで投げる投手がゴロゴロいる。ピッチングマシーンなしで打撃力の向上は無理があった。  つまり相手チームは直球を投げていれば安心なのだ。  これは偏った河中の指導の賜物だった。
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