第一章 妙案

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 「お願いだから、ピッチングマシーンを購入してください!」  すると、「だから! ウチは部費を削られて買いたくても買えんのだ! 文句言う暇があるならバッティングセンターでバットを振ってこいよ!」  と、ヤケ気味に言い返された。  勝てないから部費を削られ、削られるから練習内容が偏って、さらに負け試合を増やしていく悪循環。  だから自費でバッティングセンターへ通うために、校則で禁じられているものの、部員は肉体労働でバイトする始末で、さらに練習時間が削られていく。これでは野球部ではなく、ただの出稼ぎ労働者だ。  しかも河中はバッティングの指導をしたことがない。  選手の誰もが口に出さないが知っていた。  (この監督、スイングをしたことがないんじゃないか?)  なぜならピッチャーはそこそこ指導するのだが、ほかは誰も個別に指導された覚えがない。
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