第一章 妙案

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 頭脳明晰なので、誰もが一目置いている学級委員長だが、所詮はスポーツに縁がないガリ勉タイプ。「助けてあげようか?」と言われたが、「いや、べつに」と、中鷹は断った。  すると「そう、うふふふふふふふふ! バッティングセンターに行かなくてもいいのに」  と、とても残念そうな顔をするではないか。  そう聞くと、(もしや?)という期待を捨てられなかった。  いつもヘラヘラしていて、一見、頼りになるようには思えないが、この学級委員長が只者でないのは誰もが知っている。  この委員長に限って、ハッタリはなかった。  今までの経験上、「できる」と言えば成し遂げてきたし、「ある」と言えば必ずどこからか用意してくる。  夜型で深夜放送を聴くのが祟って午前中はボーとしているものの、夕方の四時頃になると別人のように頭の回転が早くなるので、何かトラブルがあれば、担任よりも頼りになった。
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