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「彼女からは、恨みつらみなんていう負のエネルギーが全くないっ!」
「それじゃあどうすればいいんですかっ」
足首にはクッキリと握られた痕が赤く残っているのを見れば、今、目の前で起こった事が現実なのだという証拠を突きつけられたようで、夏樹は冷静ではいられなくなりヒステリックに叫ぶ。
しかし、その言葉に飯田は答える事はなく、「とりあえず、まずは、焼香をあげてからだ」と、周りに聞こえない程度の大きさで舌打ちし、二人の間を通り過ぎて行った。
その後ろ姿からは、見えない闘志というべきか、見えないオーラのようなものが陽炎のようにユラユラと立ち昇っているような、そんな雰囲気を醸し出していた。
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