第三章 壱

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 部屋を照らす蛍光灯もどこか薄暗い。  四方の壁は元々はクリーム色をしていたが、今では煙草のヤニと汚れで薄汚い茶色をしていた。  ところどころ壁紙も剥がれ、へこみ傷や血痕のような物までついており、どこか生々しいものを感じさせる。  以前はピカピカにワックスで輝いていたのであろうフローリングの床も、壁と同様痛んでおり、所々ささくれも立っている。  この部屋は、まだ築五年しか経っていないというのに、破れたカーテン、傷だらけの家具、ひっくり返った机、割れたガラスの破片。
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