第三章 弐

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「まだ、確証は取れていませんよ。もしかしたら、引っ越し後に、どっかで死んでるかもしれませんしね」  ニヤリと口端を上げるのは、彼がほぼ確信している証拠。  それでも、人の命が関わっている事だけに、彼としても慎重に事を進めようとしているのだろう。  その証拠に「ま、すぐに、調査しますよ」と、飯田の手から自分の手を離した。 「それと、二十四年以前は、ここに何があったのか。ここで何があったのかも、調べてきます」  クイッと中指でブリッジを押す、いかにもインテリっぽい仕草をすれば、クルリと踵を返し編集部から出て行った。 「頼りになりすぎるだろ。あいつ。ってか、俺も負けちゃぁいられねぇな」  クックッと喉で笑いながら、その後ろ姿を見送った。
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