第三章 参

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「あれ?」  鍵の引き渡し日に管理会社の前担当者の通夜に参列してから、どうも気分的に引っ越しを躊躇っていた。  しかし、飯田達が現実的な調査を進めている中では、どうしても自分の動きは彼らの一歩も二歩も遅れを取っている。  人脈も嗅覚も、そして持ち合わせている情報量等、全ての能力に於いて劣っているという事実が自分でも嫌と言う程感じさせられていた。  はっきり言えば、自分の無鉄砲さが招いた凶事の尻ぬぐいをさせてしまっているというのに、その原因である本人が全くの役立たずなのだから、落ち込むしかない。
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