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ひんやりとした空気が頬を掠め、一瞬、ゾクリとしたものを背筋に感じたものの、それは、長いこと誰も住んでいないせいで、薄ら暗い雰囲気を醸し出しているのだと思い直した。
背後を振り返ると、片手を口に当て、あわあわと狼狽えている営業マンと目が合う。
逃げずに、というよりも、恐怖で逃げられずにいる営業マンの首根っこを掴むと、グイッと部屋の中へと放り込んだ。
「うわぁぁぁっ」
力を入れ過ぎてしまったのか、勢い余って玄関の上り口で躓き、盛大に転んでしまった男は、突然の出来事にパニックになってしまったのであろう。
亀が仰向けにされ、ジタバタともがいているかのように、一向に立ち上がる事が出来ず、大の大人が、情けない声で叫びまくる。
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