第一章 弐

20/28
前へ
/715ページ
次へ
 ここに来るまでもそうであったが、営業マンの尋常ではない恐れ方と、外観内観共に感じた、あまりの平凡さと拍子抜け感とのギャップに、酷く違和感と厭な予感を胸に抱き始めていた。  一見、どこにでもいる普通の人が、凶悪な犯行に及ぶ事など多々ある。  人は見た目や、表っ面だけでは判断できない。  だとすれば、こういった物件だって、そうじゃないのか?  妙な胸騒ぎを覚えながらも、せめて、明るい場所で話そうと、日当たりのいいリビングへ移動するように営業マンを促せば、俯き加減ではあるが、黙って彼女の言う通りに従おうとして、ふと、何かを思い出したのか足を止めた。
/715ページ

最初のコメントを投稿しよう!

647人が本棚に入れています
本棚に追加