第一章 弐

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 生まれて此の方、一度もお化けや幽霊どころか、金縛りにすらなった事のない夏樹が、初めて経験した心霊現象。  いくら負けん気が強く、男勝りな夏樹とはいえ、流石に足元からゾワゾワとしたものを感じ、全身に鳥肌が立っていた。  夏樹は、オカルト雑誌の編集者ではあるが、正直、この部署での仕事は、自分が本来望んでいたものではなく、日々淡々と、上司に言われるがままに、ネタを追っては、可でも不可でもない記事を書き続けていた。  そんな中で手にしたチャンス。  他の諸先輩方が、皆一様に気味悪がって手を出さなかったネタ。
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