第一章 弐

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 いや、もしかすると、既に何度か、このネタに手を出していたのかもしれないが、途中で何かが起きて、中断せざるを得ない状況に陥ったのかもしれない。  とにかく、VAN・TIERAの件に関しては、手を出すなという暗黙のルールが業界内に出来ていた。  だからこそ、このネタをモノに出来れば、出版部数が増えるどころか、業界内での地位も上がるのは明白。  オカルト専門で取り扱っている老舗出版社が、その情報収集と人脈を駆使して新しい記事を書き、新手の出版社が、都市伝説をメインに、人気作家や漫画家を起用した創作ストーリーと心霊写真で部数を伸ばしている一方で、どうしてもマンネリ化感が否めない中途半端な位置である我が社の出版内容に、危機感を感じていた編集長は、とうとう禁断のネタに手を出す事に決めた。
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