第四章 弐

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「おいっ! 吉岡っ!」  勢いよく立ち上がり大声を上げると、上司の命令に忠実かつ迅速に対応する事が命じられている警察官は、「失礼しますっ」と、規律に従い、病室に入るなり、佐々木に向かって姿勢正しく敬礼をする。 「遠藤。お前一人なのか? 吉岡は?」 「はい。吉岡はトイレに行きましたので、直ぐに戻ってくるかと」  遠藤と呼ばれた若い警官が、佐々木の問い掛けに対し、答え終わるか否やという時であった。 「うわああああああっ」  男性の絶叫が彼らの会話を遮り、大きな物体が地面に叩きつけられるような鈍い音と共に途絶えた。  驚愕を示す目をしたまま凍り付く遠藤を置いて、佐々木は弾けるように病室を飛び出していた。
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