第五章 壱

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「いっつも虫ばっか見てて気持ち悪い~」 「しょうがねーよ。こいつんち、カタオヤだって、うちの母ちゃんが言ってたし」 「うちのママも言ってたぁ。お父さんに捨てられたんでしょう?」 「ネクラで気持ち悪いから捨てられたんだ」 「ち、違う。お、父さんは……」 「うっせえ。違うんだったら、なんで、親父がいねぇんだよっ」 「つか、なんか、臭くない?」 「うわ。本当だ。くっさ!」 「お前、くせーんだよっ」  いくつもの小さな悪意の拳が、少女の体を痛めつけていく。
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