第五章 弐

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「あががががががあぁぁ」  その間も、じわじわと小川の下顎に力が加えられ、閉じようと一生懸命抵抗するも虚しく、少しずつ口が大きく開いていく。 「ぐがががががああああああああああ」 「倉橋君っ!」  喉を引き攣らせるような呻き声と、鋭い悲痛な叫びが倉橋の目を開かせた。 「臨・兵・闘・者・皆・陳・烈・在・前」  一文字一文字、言葉を区切り、その都度、両手で結ぶ印の形を変えていく。  鋭い眼差しが愛ちゃんの姿を捉える。  自分の最大限のパワーを込めようと、両手に気を集中させながら、威嚇の意味を込め、彼女を睨みつけた、まさにその時であった。
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